
DD3種を取得するメリット

DD3種は電気通信設備の工事を行うための国家資格ですが、取得することで以下の3つのメリットがあります。
- 技術力を証明できる
- 転職の際に有利になる
- 情報通信エンジニアの資格を申請できる
次からは、DD3種を取得することで得られる上記の3つのメリットについて詳しく解説していきます。
技術力を証明できる
DD3種は電気通信設備工事担任者と呼ばれる資格の一種です。DD3種が担当するのは電気通信設備の中でも、電柱や地下の光ファイバーといった屋外の設備ではなく、建物内にある設備です。
具体的には、光回線終端装置、ルーター、スイッチングハブ、パソコンや電話をLANケーブルなどで接続する際の工事を担当しています。
DD3種を取得することで、これらの電気通信設備の工事を行う技術力を会社に対して証明できます。会社に対して技術力を証明できると、就職や転職の際に有利になったり、社内での昇進や昇給に繋がります。
転職の際に有利になる
DD3種資格を取得することで、転職の際に有利になります。
これは、「一定の電気通信設備の工事を行う際は、DD3種を含む電気通信設備工事担任者を設置しなければならない」と法令で義務付けられているからです。
具体的には、以下の4つの「工事担任者を要しない工事」以外では、DD3種を含む電気通信設備工事担任者を設置しなければなりません。
- 専用設備に端末などを接続するとき
- 海事衛星通信船舶地球局または航空機地球局に接続する端末設備を設置するとき
- 岸壁に係留する船舶に臨時に接続する端末設備を設置するとき
- 技術基準適合認定を受けた端末機器であって、プラグジャック方式、アダプタ式ジャック方式、音響結合方式、電波により接続する方式により接続するとき
情報通信エンジニアの資格を申請できる
DD3種の資格を取得することで、情報通信エンジニアの資格を申請することができます。
情報通信エンジニアとは、情報通信について最新の知識・技術を持っていることを証明するための資格です。
情報通信エンジニアの資格を取得すると様々なメリットがあります。情報通信エンジニア資格を取得するメリットは以下の5つです。
- 最新の技術・知識を修得している電気通信設備工事担任者であることをお客様に証明できる。
- 毎年開催される「工事担任者スキルアップガイドライン委員会」で審議・精選された最新技術をまとめたテキストにより、最新の技術と知識を体系的に修得できる。
- 「ICTセミナー」により、最新技術動向についての講義を無料で受講できる。
- 「ICTセミナー」の内容をWEBや協会機関紙で閲覧できるほか、セミナーの案内や最新技術動向がメールで配信される。
- 情報通信エンジニアの有資格者が社員として在籍している会社は報通信設備協会の「LAN認定制度」で認定されるので、社内で評価される。
特に、最新の知識・技術を修得していることを証明できるのは、就職や転職、社内での昇進や昇給において大きなメリットであると言えるでしょう。
DD3種の資格概要

DD3種の仕事に興味がある方や資格を取得したいと考えている方であれば、まずは以下の2つの点を知っておきましょう。
- 総務省が認定している国家資格
- 資格保持者の業務内容
次からはこれら2つの点について詳しく解説していきます。
総務省が認定している国家資格
DD3種は総務省が認定している国家資格です。資格の正式名称は「電気通信技術工事担任者」となっており、「DD3種」というのは電気通信技術工事担任者の中の種別の一つです。
電気通信技術工事担任者の種別は、以下のように7つに分かれています。
【AI第1種の工事内容】
・アナログ伝送路設備に端末設備又は自営電気通信設備を接続するための工事
・総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事
【AI第2種の工事内容】
・アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
※端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る
・総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事
※総合デジタル通信回線の数が64kbps換算で50以下のものに限る
【AI第3種の工事内容】
・アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事
※端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る
・総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事
※総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで1のものに限る
【DD第1種の工事内容】
・デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
※ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く
【DD第2種の工事内容】
・デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
※接続点におけるデジタル信号の入出力速度が100Mbps以下のものに限る
※主としてインターネットに接続するための回線にあっては入出力速度が1Gbps以下のものに限る
※ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く
【DD第3種の工事内容】
・デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
※接続点におけるデジタル信号の入出力速度が1Gbps以下のものであって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る
※ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く
【AI・DD総合種の工事内容】
・アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
DD1種、DD2種、DD3種の共通点は、いずれもデジタルの電気設備やインターネットの通信設備の工事を担当すると言うことです。
DD3種と、DD1種およびDD2種の違いは、工事を担当する建物の規模です。
DD3種は一般家庭の工事を担当するのに対して、DD1種およびDD2種は主にビルやマンションといった規模の大きな建物の工事を担当します。
資格保持者の業務内容
電気通信工事担任者の業務内容は、大きく分けると以下の5つです。
- LAN工事
- 携帯電話基地局工事
- 放送設備工事
- テレビ共聴設備工事
- 設備機器の設置工事
上記のうち、DD3種が担当するのはLAN工事です。
PCやスマートホンがインターネットに常時接続しているのが一般的ですが、これはLANが組まれているからです。
LANを組むためには、LAN専用の配管が屋内に引き込まれている必要があります。建物の配管の有無に応じて工事を行うのが、DD3種の業務内容です。
試験概要

DD3種を受験を考えているなら、以下の4つの点について知っておくことが大切です。
- 合格点
- 試験の難易度
- 出題範囲
- 科目免除を受けられる場合がある
次からは、これら4つの点について詳しく解説していきます。
合格点
DD3種の合格点は、出題される以下の3科目で、いずれも100点満点中60点以上得点する必要があります。
本試験では3科目を同じ時間内に解く必要があり、試験時間は120分となっています。
【電気通信技術の基礎】
電気工学や電気通信に関する知識が出題内容で、出題数は全部で22問あります。
【端末設備の接続のための技術及び理論】
端末設備・接続技術の知識、ネットワーク技術、情報セキュリティについての知識が出題内容で、出題数は全部で20問です。
【端末設備の接続に関する法規】
電気通信事業法、有線電気通信法、不正アクセス禁止法が出題内容で、出題数は全部で20問です。
試験の難易度
DD3種は1年に2回試験が実施されています。過去3年間、6回実施された試験の合格率は以下の通りです。
- 平成29年度(1回目)-44.6%
- 平成29年度(2回目)-43.1%
- 平成30年度(1回目)-49.8%
- 平成30年度(2回目)-46.6%
- 令和元年度 (1回目)-41.9%
- 令和元年度 (2回目)-49.4%
参考までに、中難易度の国家資格として測量士補や建築施工管理技士の資格が挙げられ、合格率が20〜30%程度となっています。
DD3種と同じく合格率が40%程度の国家試験として、高圧ガス製造保安者、航空無線通信士、情報セキュリティマネジメントなどがあります。
出題範囲
DD3種では、電気通信技術の基礎、端末設備の接続のための技術及び理論、端末設備の接続に関する法規の3科目から問題が出題されます。ここからはそれぞれの科目の出題範囲について詳細に紹介していきます。
電気通信技術の基礎の出題範囲は以下の5分野です。
- 電気回路
-直流回路、電磁作用、静電容量、交流回路など - 電子回路
-半導体素子、ダイオード・トランジスタ回路など - 論理回路
-論理式とシンボル、論理回路と入出力信号、データの表現(10進数、2進数)など - 伝送理論
-伝送量の単位、特性インピーダンス、反射とインピーダンス整合、漏話など - 伝送技術
-AM変調、FM変調、FSK変調、PSK変調、光変調、波長分割多重(WDM)、PCM、周波数分割多重(FDM)、時分割多重(TDM)など
端末設備の接続のための技術及び理論の出題範囲は以下の11分野です。
- ONU、DSLモデム、スプリッタ等
-ONU、DSLモデム、スプリッタ等の概要及び内部動作など - IP電話機
-IP電話機の概要及び内部動作など - LAN
-LANの概要及び内部動作(LAN、サーバ、ルータ等)など - その他の端末機器
-その他の端末機器の概要及び内部動作(メディアコンバータ、パーソナルコンピュータ、ホームサーバ、ダイヤルアップルータ、LANカード等)など - ブロードバンド回線の工事と工事試験
-光ファイバケーブルとメタリックケーブルの概要、光ファイバケーブルのコネクタ接続技術、メタリックケーブルのコネクタ接続技術など - ホームネットワーク等の工事と工事試験
-ホームネットワークの配線と設備の基礎、ホームネットワークの配線工事と工事試験、ホームネットワーク設備等のセットアップと工事試験、トラブルシューティングの概要など - データ通信技術
-データ通信の技術、データ伝送の技術、パケット交換の技術、トラヒック技術の概要など - ブロードバンドアクセスの技術
-ブロードバンドアクセス方式の概要、メタリックアクセス技術、光アクセス技術、CATVシステム技術など - IPネットワークの技術
-IP-ネットワークの概要、IP-ネットワークの関連プロトコル概要、インターネットの概要、IP電話ネットワークの概要、IP電話関連プロトコルの概要、IP電話での音声品質、IP-VPNの技術、IPセントレックスの概要など - 情報セキュリティ概要
-脅威の種類、ハッキング、クラッキング、フィッシング、ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ファイアウォール、NATなど - 端末設備とネットワークのセキュリティ
-端末設備でのセキュリティ問題、端末設備のセキュリティ対策、ネットワークセキュリティの概要など
端末設備の接続に関する法規では、以下の8つの法規が出題されます。
- 電気通信事業法
- 電気通信事業法施行規則
- 工事担任者規則
- 端末機器の技術基準適合認定等に関する規則
- 端末設備等規則(技術基準)
- 有線電気通信法
- 有線電気通信設備令
- 不正アクセスの禁止等に関する法律の大要
科目免除を受けられる場合がある
DD3種は、以下の3つの場合に科目免除を受けることができます。
- 電気通信設備工事担任者の他の種別の合格者
- 一定の資格保有者
- 実務経験者
「電気通信設備工事担任者の他の種別の合格者」に関しては、DD3種以外の種別の基礎科目に合格している場合は、DD3種の電気通信技術の基礎の科目が免除されます。
「一定の資格保有者」に関しては、以下の2つの資格保有者であれば、以下のように「電気通信技術の基礎」または「端末設備の接続に関する法規」が免除されます。
- 電気通信主任技術者資格
-「電気通信技術の基礎および端末設備の接続に関する法規」免除 - 無線従事者資格
-「電気通信技術の基礎」免除
※無線従事者資格は、第1級および第2級総合無線通信士・第1級および第2級海上無線通信士・第1級および第2級陸上無線技術士・第3級総合無線通信士
「実務経験者」に関しては、以下の2つの実務経験がある場合に、「電気通信技術の基礎」または「端末設備の接続のための技術及び理論」の科目が免除されます。
- 端末設備等を接続するための工事に1年以上従事した経験を有する者
-「電気通信技術の基礎」免除 - デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事に2年以上従事した経験を有する者
※ただし、総合デジタル通信用設備により信号を伝送するものを除く
-「電気通信技術の基礎および端末設備の接続のための技術及び理論」免除
DD3種取得までに必要な勉強

DD3種試験の勉強をするなら、いきなり始めるのではなく、まずは以下の3つについて知っておく必要があります。
- 合格に必要な勉強期間
- 勉強方法
- 参考書・問題集
次からは、以上の3つの点についてそれぞれ詳しく解説していきます。
3か月程度の準備期間を設けよう
DD3種合格に必要な勉強時間は、50時間から120時間程度であるとされています。平日と休日に何時間勉強できるかによって必要な勉強期間は異なりますが、一般的には3ヶ月の準備期間が必要だとされています。
平日も休日も含めて毎日少しずつ勉強を進めていくタイプであれば、1日30分から1時間勉強を続けると3ヶ月で勉強時間が45〜90時間に達します。
平日は勉強せず、休日に集中して勉強をするタイプであれば、1日3〜5時間の勉強を続けると3ヶ月で勉強時間が72〜120時間に達します。
平日も休日も毎日にコツコツ勉強していくタイプなのか、休日に集中して勉強を進めるタイプなのか、自分の勉強スタイルに合わせて勉強計画を立てましょう。
しっかりと勉強法を考えれば合格は難しくない
DD3種試験はしっかりと勉強方法を考えて取り組めば、合格は決して難しくありません。DD3種試験では8割以上の問題が過去問から出題されているからです。
ここからは各科目の勉強法について解説します。
電気通信技術の基礎
電子計算や論理回路の計算問題が出題されるので、高校数学の対数などの知識が必要になります。
もし高校数学を忘れてしまっている場合は、もう一度復習しておくといいでしょう。
端末設備の接続のための技術及び理論
ネットワークやセキュリティに関する知識問題が出題されます。知識問題は暗記が重要です。
そのため、参考書を繰り返し読んだり、過去問をを繰り返し解くことで、記憶を定着させましょう。
端末設備の接続に関する法規
法律に関する問題ですが、いきなり難しい条文を読んでも理解するのは難しく、問題を解けるようにはなりません。
法律は表現や言葉が特殊で読みにくいので、まずは過去問を繰り返し解いて法律特有の文章に慣れていきましょう。過去問を繰り返し解くことで、繰り返し問われている論点や、ひっかけのパターンを覚えていくことができます。
この参考書を使って勉強しよう
参考書にはどのような種類がありますか
大きく分けると、テキスト・問題集の2種類です
勉強の手順が知りたいです
まずはテキストを読んで理解してから、次に問題集を使って問題演習をしていきましょう
おすすめのテキストはありますか
DD3種のテキストならば、工事担任者DD3種標準テキスト(リックテレコム社)・わかるAI・ DD全資格{基礎}(リックテレコム社)がおすすめです
工事担任者DD3種標準テキスト
おすすめ度:★★★★☆
最新の試験傾向を踏まえた学習ができるテキストです。試験で何度も問われる点や間違えやすい点も図や表などを使って分かりやすくまとめているので、初めてDD3種を受験する方にもおすすめです。
この本の口コミ
一発合格
この本1冊だけで1度で合格できました。
みずはちまる
わかるAI・ DD全資格{基礎}
おすすめ度:★★★★☆
基礎と法規、技術・理論を科目ごとに分かりやすくまとめています。単元や出題ポイントごとに見開きページで図解し、勉強しやすいように工夫しているテキストです。
この本の口コミ
検定勉強用に
Amazonカスタマー
総合種までカバー
Amazonカスタマー
工事担任者DD3種実戦問題(リックテレコム社)
おすすめ度:★★★★☆
前回の試験問題1問ずつに対して丁寧に解説しているので、過去問をしっかりと復習したい方におすすめです。重要ポイントをまとめた項目もあるので、直前学習にも活用できます。
「工事担任者DD3種標準テキスト」は、DD3種だけを受験するなら最もおすすめです。
「わかるAI・ DD全資格{基礎}」は、電気設備工事担任者の全種別の基礎科目のみのテキストとなっています。基礎科目に関しては「工事担任者DD3種標準テキスト」よりも詳しく解説されています。
そのため、DD3種を受験する場合はまずは「工事担任者DD3種標準テキスト」を読んで、基礎科目を詳しく勉強したい場合は「わかるAI・DD全資格」を読むといいでしょう。
DD3種のおすすめの問題集として、「工事担任者DD3種実戦問題(リックテレコム社)」が挙げられます。この問題集は、前回の試験で出題された過去問に加えて、予想問題も掲載されています。過去問にも予想問題にも1問ずつ詳しく解説されているので、初学者にもおすすめできます。
参考書と問題集が一冊になっているものとして「工事担任者DD3種受験マニュアル(電波新聞社)」が挙げられます。この問題集があれば、参考書と問題集を別々に買う必要がないというメリットがあります。その一方で、「工事担任者DD3種標準テキスト」よりも説明が詳しくないというデメリットがあります。
試験への申し込みは2通りの方法がある

DD3種の試験を申し込みする場合、以下の2通りの方法があります。
- 申請書による申し込み
- インターネットによる申し込み
次からは、それぞれの申し込み方法について詳しく解説していきます。
申請書による申し込み
申請書による申し込みの手順は以下の通りです。
1.申請書を取り寄せる
2.申請者本人が申請書へ記入
3.郵便局の窓口で試験手数料を払込み
4.申請書を郵送
インターネットによる申し込み
インターネットによる申し込みの手順は以下の通りです。
1.電気通信国家試験センターのHPにアクセスする(申込画面への入力)
2.ホームページで申請申し込み(申し込み手順に沿って申請者本人が必要事項を入力)
3.入力完了後、完了画面を印刷しておく。
4.入力完了後、指定したメールアドレスに受付完了メールが届く(申請受付番号、手数料の払込方法、申請内容、試験手数料などのお知らせが届きます。)
まとめ

DD3種、電気通信設備工事担任者になるために必要な資格です。
DD3種の業務内容は建物のLAN工事を行うことであり、インターネットが普及した現在では需要が高いのはもちろん、将来的にも需要の見込める仕事です。
一方、DD3種の合格率は40%以上あり、電気通信設備工事担任者の中では最も難易度の低い種別となっています。
そのため、電気通信設備工事担任者を目指すのであれば、まずはDD3種の資格から取得してみてはいかがでしょうか。
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