
本記事ではそもそも電気工事士とはどのような資格なのかを説明した上で、電気工事士の仕事内容について詳しく解説していきます。
電気工事士の仕事に興味がある人はぜひ参考にしてください。
電気工事士とは

電気工事士とは、一般住宅や工場、学校、病院など様々な建物の電気設備の工事を行う国家資格のことです。
電気工事の仕事には漏電や感電といった事故の危険も伴うため、電気工事士の資格保有者でなければ仕事をしてはいけないと法律で定められています。
電気工事士が扱う建物は多岐に渡りますが、扱う電気設備の規模が大きいほど高い専門性が要求されます。
電気工事士には第一種電気工事士と第二種電気工事の2つに分かれており、それぞれ扱える電気設備の規模が異なっています。
続いて、具体的にはどのような業務があるのかを紹介します。そのうえでどの範囲の業務を第一種電気工事士が担当し、第二種電気工事士が担当しているのかを説明します。
電気工事士の仕事内容

建築電気工事
電気工事士の仕事は、建築電気工事と鉄道電気工事に大きく分けることができます。
建築電気工事はさらに次の4つの業務に分けられます。
屋内配線工事
個人の家や会社、施設内の配線をおこないます。
屋内配線工事は建物を新築するときには欠かせない作業ですが、リフォームするときや新たな電気設備を導入するときにも欠かせない作業です。
外線の配線工事
電柱から建物に電気を引き込みます。
都市部などでは地中に電線が通されていることもあり、外線工事に地面を掘る作業が付随することもあります。
冷暖房(エアコン)の工事
エアコン取り外しや取り付け、クリーニングなどの作業もおこないます。
家電販売店の下請けとなる電気工事業者が請け負うこともありますが、個人宅などから清掃業者を通して直接依頼を受けることもあります。
ビル管理の仕事
ビル内にある電気設備や空調設備、エレベーターなどのメンテナンスをおこないます。
建物内のさまざまなトラブルへの対応を求められるため、電気工事士だけでなくボイラー技士や消防設備士などの資格が必要になることもあります。
鉄道電気工事
鉄道関係の電気工事の仕事は、以下の3つに大別できます。
なお、鉄道電気工事は電車が走っていない深夜におこなわれることが多いため、夜勤がメインとなります。
変電設備工事
電車の種類によって電圧が異なります。
適した電圧に変えるための変電所を建設・メンテナンスする仕事も、電気工事士の仕事です。
線路工事
変電所から電車に電気を引き込んだり、信号機や踏切などの線路そばの施設を設置するのも電気工事士の仕事です。
もちろん、設置後は定期的にメンテナンスをおこない、事故が起こらないように管理します。
駅の設備工事
駅構内には電気を使った施設が多数あります。
電車の発着を知らせるモニターや自動改札機、券売機、照明、空調設備などの設置・メンテナンスも電気工事士が担当します。
第一種電気工事士と第二種電気工事士の扱える業務の違い
第一種電気工事士
第一種電気工事士が扱えるのは、500kW未満の自家用電気工作物と、一般用電気工作物です。
500kW未満の自家用電気工作物とは、中小工場やビル、高圧受電の商店などに設置されている電気設備のことです。
一般用電気工作物とは、一般家屋、小規模商店、600V以下で受電する電気設備等のことです。
第一種電気工事士は、規模の大きな建物の電気工事や変電所を担当します。電気工事の規模が大きい場合、基本的にはチームで仕事をすることになります。
第二種電気工事士
第二種電気工事士が扱えるのは、一般用電気工作物のみです。
500kW未満の自家用電気工作物を扱うことはできないため、第一種電気工事士よりも扱える電気工作物の範囲が狭い下位資格に位置付けられています。
第二種電気工事士は、第一種電気工事士よりも規模の小さな電気設備を担当します。
また、ビルメンテナンスを担当することが多いのも第二種電気工事士の特徴です。
ビルメンテナンスでは、ビル内の電気設備の保守点検が主な仕事となるため、電気設備の修繕や工事の仕事は多くありません。
電気工事士の仕事の魅力と辛い点

電気工事士の仕事の魅力
技術力を評価してもらえる
電気工事士に求められるのは、作業の正確さや丁寧さといった技術力です。
学歴や経歴はあまり問われませんので、腕一本に自信がある方にもおすすめの仕事と言えるでしょう。
また、技術力は努力と経験によって向上させることが可能です。努力を重ねて腕を磨けば、昇進・昇給のチャンスも増えるでしょう。
仕事がなくならない
オンライン化が進み、世の中の仕組みも変化しています。しかし、オンラインを利用するためにも電気は不可欠で、電気が必要な場面や場所は年を追うごとに増えています。
電気が必要ということは電気工事が必要ということです。つまり、電気工事士の仕事はこれからも高いニーズを維持し続ける仕事だと言えるのです。
社会貢献性が高い
電気工事士は、電気工事を通じて人々の生活インフラを維持する仕事です。
現代社会は電気なしでは成立しない以上、電気設備が故障してしまうと人々が生活を営むことはできません。
平常であれば電気設備は当たり前のようにありますが、災害が起きると電気設備が故障してしまいます。
地震や台風といった自然災害が発生して電気設備が故障したとき、さまざまな電気設備を工事して日常生活を取り戻す手助けをしているのは電気工事士なのです。
成長を実感しやすい
電気工事士の仕事は技術職であるため、経験を積めば積むほどスキルアップし、成長を実感することができます。
スキルアップすれば社内でも評価され、昇給や昇進にも繋がっていきます。成長して会社から評価されることで仕事を頑張るモチベーションも上がり、この点でもやりがいを実感することができます。
電気工事士の仕事の辛い点
肉体的にきつい仕事が多い
屋外の仕事では、夏の暑い日や冬の寒い日もずっと作業をし続けなければなりません。座って仕事をすることもできず、基本的にはずっと立ちっぱなしで仕事をすることになります。
現場仕事であるため常に動き回っており、工事道具などの重い荷物を運ばなければなりません。
労働時間が不規則になりやすい
電気工事の仕事は時間が決まっていません。朝から工事を行う場合もありますが、鉄道工事であれば鉄道が稼働していない深夜に作業をすることができます。
また、工事の現場では電気工事士だけでなく水道業者や大工など、様々な業者が出入りすることになります。
他の業者の業務状況によって工事の進捗も変わるので、スケジュールがずれ込み、夜遅くまで作業しなければならないこともあります。
電気工事士の平均年収は400万円

電気工事士の平均年収は400万円です。しかし、電気工事士としての実務経験よって年収は大きく変わってきます。
見習い期間であれば、平均年収は250万円〜350万円程度となっています。
正規の電気工事士であれば、平均年収は300万円〜500万円です。
現場の責任者や役職者の地位に就くことで、平均年収は400万円〜600万円以上となります。
また、会社の規模によっても平均年収は異なっており、会社の規模が大きいほど年収は高くなる傾向があります。電気工事士は独立ができる資格であるため、独立することでさらに高い年収を稼ぐことも可能です。
- 見習い時期:
250~350万円 - 正規の電気工事士:
300~500万円 - 現場責任者、役職者:
400~600万円
電気工事士の仕事の将来性

世の中を便利にする新しい機器が次々と生まれていますが、ほとんどのアイテムが電力を必要としているという点は今も昔も変わりません。
電気工事に携わる電気工事士の仕事は、今後も需要の高い仕事だといえるでしょう。
将来的に役立つ資格を取得したい方にも、今すぐ働ける資格を得たい方にも、電気工事士の資格はおすすめです。
また、技術力があればさらに重宝される仕事のため、学歴や経歴に左右されない職種を選びたい方にとっても良い選択肢となるでしょう。
まとめ

電気工事士の仕事内容や、仕事のやりたい、辛いことや大変なこと、平均年収について解説していきました。
電気工事士には第一種電気工事士と第二種電気工事士があり、それぞれ扱える工事の範囲が異なります。
いずれも受験資格はありませんが、第一種電気工事士の免状を交付してもらうには実務経験が必要です。
そのため、電気工事の実務経験がない場合は、まずは第二種電気工事士から取得しましょう。
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