
消防設備士の資格を取得したいけど、どの種類を取得すればいいのかわからないという方も少なくないかと思います。
消防設備士資格は甲種と乙種に分かれている上に、1類から7類、特類とさらに細かく分かれており、種類が大変多いです。
本記事では消防設備士資格の種類について、それぞれの特徴や仕事内容について詳しく解説していきます。
消防設備士の資格を取得しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
消防設備士の種類

消防設備士資格は種類が多いので、まずはどのような種類があるのかを知っておきましょう。ここでは、消防設備士資格の種類の甲種と乙種の違いを説明していきます。
甲種と乙種に分かれている
消防設備士資格は甲種と乙種に分かれています。
甲種と乙種の共通点は消防設備の保守点検が独占業務であることですが、相違点は消防設備の工事ができるかどうかです。乙種資格のみ消防設備の工事を行うことができます。
しかし、乙種よりも甲種の方が専門性が高く、試験の難易度も高いので、上位資格という位置付けとなっています。
そのため甲種の方が乙種よりも求人の数が多く、待遇も良い傾向があります。さらに、乙種試験では受験資格がありませんが、甲種試験を受験するには乙種資格とともに実務経験が要求されます。
そのため、消防設備士を目指すのであればまずは乙種資格を取得し、実務経験を積んだ後に甲種資格を取得するのが一般的です。
特類と1類から7類まである
甲種と乙種は1類から7類と特類があり、まとめると以下のようになります。
- 甲種:1類~5類、特類
- 乙種:1類~7類
上記のように、甲種には1類から5類と特類がありますが、乙種のように6類と7類がありません。
また、乙種には1類から7類までありますが、特類がないことを知っておきましょう。
次からは消防設備士の各種類の仕事内容について具体的に解説していきます。
消防設備士の各種類の仕事内容

ここからは消防設備士の1類から7類、特類の仕事内容について解説していきます。それぞれ仕事内容が大きく異なるので、自分が就職したい業界に役立つ資格を選びましょう。
1類の仕事内容
消防設備士1類は、消火栓やスプリンクラーといった水で消火を行う設備の点検、整備、工事を行うための資格です。
消防設備士1類が扱える消防設備には以下のようなものがあります。
- 屋内消火栓設備
- 屋外消火栓設備
- スプリンクラー設備
- 水噴霧消火設備
- パッケージ型消火設備
- パッケージ型自動消火設備
- 共同住宅用スプリンクラー設備
消火栓やスプリンクラーは、商業施設や集合住宅など多くの建物や施設に設置されているため、消防設備士1類の需要は高いです。
また、上下水道設備の工事や保守点検を行っている会社でも需要のある資格です。
2類の仕事内容
消防設備士2類は、泡消火設備の点検や整備、工事を行うための資格です。消防設備士2類が扱える消火設備には以下のようなものがあります。
- 泡消火設備
- パッケージ型消火設備
- パッケージ型自動消火設備
泡消火設備は、駐車場やヘリポートといった面積の広い場所で消化活動を行うためのものです。
面積が広い場所で火災が起きた場合、水よりも泡の方が拡散性が高いため、迅速な消火活動を行うことができます。
泡消火設備が設置されている建物や施設は1類に比べると限られているため、需要はそれほど高いわけではありません。3類の仕事内容
消防設備士3類は、二酸化炭素や窒素などのガスや粉末を用いて消火する設備の整備、点検、工事を行うための資格です。
消防設備士3類が扱える消防設備には以下のようなものがあります。
- 不活性ガス消火設備
- ハロゲン化物消火設備
- 粉末消火設備
- パッケージ型消火設備
- パッケージ型自動消火設備
ガスや粉末を用いた消火設備は、電気通信機室や精密機械室、美術館や博物館などに設置されます。
電気通信機室や精密機械室では水を使って消火を行うと、機械が故障してしまったり、機械がショートすることでかえって被害が拡大してしまう危険があるため、ガスや粉末を用いた消火を行います。
また、美術館や博物館には高価な美術品や歴史的価値の高い資料などが展示されており、水を使って消火すると展示物を損傷させてしまい、取り返しのつかないことになりかねません。
そのため、美術館や博物館でも、展示物への損傷を最小限に抑えることのできるガスや粉末を用いた消火方法を採用しています。
3類も1類に比べると需要は高くありませんが、社会的、経済的に価値の高い施設で一定の需要があります。
4類の仕事内容
消防設備士4類は、火災報知設備の点検や整備、工事を行うための資格です。
消防設備士4類が扱うことのできる消防設備には以下のようなものがあります。
- 自動火災報知設備
- ガス漏れ火災警報設備
- 消防機関へ通報する火災報知設備
- 共同住宅用自動火災報知設備
- 住戸用自動火災報知設備
- 特定小規模施設用自動火災報知設備
- 複合型居住施設用自動火災報知設備
火災報知設備は集合住宅だけでなく、映画館や劇場、ショッピングモールといった大型の商業施設のほか、学校や病院、官公庁など多くの人が出入りする施設で必ず設置されています。
そのため消防設備士4類は需要の高い資格であると言えます。
5類の仕事内容
消防設備士5類は、屋内で火災が起きた際に避難するための道具を整備、点検、工事するための資格です。
消防設備士5類が扱うことのできる消防設備は以下のようなものがあります。
- 金属製避難はしご
- 救助袋
- 緩降機
上記のような避難道具は、商業施設や学校、病院など一定の高さのある建物に設置されます。
設置される建物は限られるので消防設備士5類はそれほど需要は高くありませんが、人命を守ることに直接的に関係する重要な設備を扱います。
6類の仕事内容
消防設備士6類は消火器の整備、点検を行うための資格です。消防設備士6類は乙種にしかありません。
消火器は私たちにとって最も身近な消火設備であり、需要も高いです。
消防設備士の資格の中でも最も受験者が多く、消防設備士に興味があるなら最初に取得する資格としておすすめできます。
7類の仕事内容
消防設備士7類は漏電火災警報器を点検、整備するための資格です。6類と同じく、7類は乙種にしかありません。
漏電火災警報器は、漏電を検知して警報を発する機器のことです。漏電火災警報器は特別な施工法の建物でのみ設置されます。
設置される建物は限定的なのでそれほど需要は高くありません。特類の仕事内容
消防設備士特類は、総務省の認定を受けた特殊消防設備を点検、整備、工事するための資格です。特類は甲種にしかありません。
特殊消防設備とは、これまで紹介してきた1類から7類の消防設備に分類されないものを指します。
設置の対象となるのは超高層建築物や巨大複合建築物などの大規模で特殊な建築物です。特殊消防設備はいまのところ、全国に64の建物にしか設置されていません。
そのため特殊消防設備に就職することになってから、会社の指示で取得することになるでしょう。
まとめ

消防設備士の種類は甲種と乙種に分かれており、さらに1類から7類、特類に細かく分かれています。甲種は乙種の上位資格なので、消防設備士を目指す場合は乙種から取得することをおすすめします。
種類ごとに需要は異なっており、活躍できる業界も異なっているので、自分の希望する業界で需要の高い資格を取得しましょう。
関連記事
▶消防設備士の合格に必要な勉強時間についてご紹介!勉強方法についても解説