
電験三種とは第三種電気主任技術者のことで、電気工事の現場で責任者として監督を行うための資格です。
法律で電験資格保有者を設置しなければならないと定められており、需要が高い資格であるため、高年収を狙える資格です。
本記事では電験三種資格の平均年収について、最も多い年収帯や、年収をアップさせる方法、AIの影響などについて解説していきます。
電験三種を持っている人の平均年収は450万円

ここからは電験三種の平均年収について、最も多い年収帯や、電気主任技術者全体の年収、年齢別年収なども紹介しながら解説していきます。
最も多い年収帯は400〜450万円
電験三種の最も多い年収帯は400〜450万円です。日本人のサラリーマンの平均年収が420万円なので、ほとんど同じくらいの年収であることがわかります。
年収分布を見ると、年収の下限は200万円、上限は600万円弱です。年収にばらつきがあるのは、電験三種が活躍できる業界の幅が広いことが挙げられます。
大手の電力会社であれば年収は高くなりますが、ビルメンテナンス業界であれば年収は低い傾向にあります。電気主任技術者全体では300〜600万円
電験三種の平均年収と比較するため、三種に限らず電気主任技術者全体でどのくらい年収があるのかを紹介します。
電気主任技術者全体では最も多い年収帯は300〜600万円となっています。電験三種は電験の中で最も初歩的な資格なので、二種、一種と上がっていけば年収もそれに応じて上がっていきます。
また、電験資格は技術者であるため、実務経験の年数が年収に直接影響を及ぼします。
実務経験が低い若手や新入社員ほど年収は低く、具体的には実務経験が5年未満だと年収が300〜400万円程度になる傾向があります。
また、役職についていると年収が高くなります。電験三種から、二種、一種と上位資格を取得することで、役職につける可能性も上がります。
電気主任技術者の年齢別年収
電気主任技術者の年齢別年収は以下のようになっています。
- 18〜24歳:300万円
- 25〜29歳:390万円
- 30〜34歳:450万円
- 35〜39歳:520万円
- 40〜44歳:580万円
- 45〜49歳:620万円
- 50〜54歳:660万円
- 55〜59歳:640万円
- 60〜65歳:550万円
電験三種で年収1,000万円は可能?

電験三種の平均年収ははサラリーマンの平均よりもやや高い程度ですが、年収1,000万円を狙いたいと考えている方も少なくないと思います。
次からは電験三種の資格で年収1,000万円を稼ぐことは可能なのかを解説していきます。
勤めながら年収1,000万円は難易度が高い
結論から言うと、電験三種資格で会社に勤めながら年収1,000万円を稼ぐのは相当難しいです。
電験の最上位資格である電験一種でさえ、年収1,000万円以上稼げるのは全体の5%未満です。
ちなみに、電験一種の合格率は5%程度で、年間の合格者数は400人程度しかおらず、国家資格の中でも最難関の部類に入ります。
電験三種の場合、最も待遇の良い会社に入り、順調に出世していったとしても、年収は600万円程度が限界となるでしょう。
独立すれば年収1,000万円以上も可能
電験三種で会社に勤めながら年収1,000万円を稼ぐのは非常に難しいですが、独立すれば年収1,000万円以上も可能です。
電験三種で独立する場合、会社を設立する方法と個人事業主になる方法の2つがあります。
いずれの場合であっても、従業員を雇えば事業の規模を大きくすることができるため、自分の経営努力次第でいくらでも稼ぐことは可能です。
電験三種で年収をアップさせる方法

電験三種を取得したあとは、年収がアップするように努力していくことが大切です。電験三種で年収をアップさせる方法には以下の3つがあります。
- 実務経験を積む
- 上位資格を取得する
- 転職をする
次からは、これら3つの方法について解説していきます。
実務経験を積む
電験三種は技術職であるため、技術が高ければそれに応じて評価も上がり、年収アップにつながります。そのため、電験三種取得後は会社で地道に実務経験を積んでいくことが大切です。
実務経験が豊富であれば、就職や転職の際にも条件のいい会社で採用されやすくなります。上位資格を取得する
電験三種取得後、二種、一種と上位資格を取得することで年収がアップします。ただ、当然ながら上位資格になるほど試験の難易度も上がっていくので、取得するのは容易ではありません。
最上位資格である電験一種は合格率が5%前後であり、最難関国家資格である司法試験予備試験や司法書士試験の合格率3〜4%とほぼ同じです。
一種は有資格者が非常に少ないため需要も高く、もし一種を取得できれば条件の良い会社に就職や転職できる可能性も上がるでしょう。
転職をする
現在の会社よりも条件の良い会社に転職することで年収が上がります。ただし、転職する場合は年齢に応じた実務経験が求められます。
実務経験は最低でも5年以上必要とされるので、これに満たない場合は現在の会社で経験を積みましょう。
独立する
電験三種を取得するだけでは、高い年収を得ることは困難です。大企業に勤めたとしても600万円程度が限界なので、それ以上の高収入を目指す場合は独立も検討してみましょう。
簡単に独立したいならば、個人事業主になる方法があります。資本金がなくても、管轄の税務署に開業届を提出するだけで個人事業主になれます。
一方、従業員を雇って手広く事業をおこなうならば、法人設立をおすすめします。
株式会社の場合は登録免許税や定款認証手数料などで20万円ほど、合同会社の場合は定款認証手数料が不要になるため6万円ほどで設立できます。
電験三種を取得した人の給料に対する本音

電気主任技術者として働くためには電験の資格が必要です。その中でも電験三種はもっとも取りやすい資格なので、ぜひとも取得しておきたいものです。
とはいえ、「電験三種を取得したのに、あまり給料が増えない」という声も少なくありません。
これは、電気主任技術者の仕事の性質上、単に電験三種を持っているだけでなく実務経験が求められるためで、勤務歴が長くなれば給料もある程度は増えると考えられます。
また、「苦労したわりには給料が低い」という声もあります。給料に納得できないときは、資格や経歴が評価される職場への転職も視野に入れるほうが良いかもしれません。
電験三種はAIの影響で年収が下がらない

近年、目覚しく発展しているAI技術によって、電験三種の年収が下がることはあるのでしょうか。電験三種の仕事が単なる電気工事現場の監督だけであれば、AIに置き換えられてしまい、年収が下がることもあるでしょう。
しかし、電験三種は単に現場を監督するだけでなく、電気工事士への指示、クライアントとの交渉などの仕事もあります。
電験三種は人とコミュニケーションをとることが重要な仕事であるため、AIに置き代わりにくいのです。
そのため電験の現場にAIが導入されたとしても、電験三種の年収は下がりにくいと言えます。
まとめ

電験三種で最も多い年収帯は400〜450万円となっており、サラリーマンの平均と同程度です。
特別高い年収とは言えませんが、上位資格を取得したり実務経験を積むことで、年収を上げることが可能です。
電験三種だけで年収1,000万円以上稼ぐことは難しいですが、独立すれば1,000万円以上稼ぐことは可能です。
勤めながら年収をアップさせるなら、まずは地道に実務経験を積みながら上位資格の取得を目指し、転職をすると良いでしょう。
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