
電験三種の法規はどのくらい難しいのか、どのように勉強すればいいのかわからず困っている方も少なくないかと思います。
本記事では電験三種の法規とはどのような科目なのか出題範囲や傾向、合格基準、合格率などを紹介した上で、放棄の勉強方法について解説してきます。
電験三種の法規が苦手だという人や、これから法規の勉強を始めるのに何から手をつけていいかわからないという方はぜひ参考にしてください。
電験三種の法規の概要

電験三種の法規を勉強する前に、まずは概要として以下の4つを知っておきましょう。
- 法規とは法令問題のこと
- 暗記問題と計算問題がある
- 法規の配点と合格基準点
- 法規の合格率と難易度
ここからは法規の概要に関するこれら4つの事項について詳しく解説していきます。
法規とは法令問題のこと
法規とは法令問題のことを意味しており、具体的には以下の7法が出題されます。
- 電気設備に関する技術基準を定める省令
- 電気事業法
- 電気関係報告規則
- 発電用風力設備に関する技術基準を定める省令
- 電気用品安全法
- 電気工事法
- 電気工事業の業務の適正化に関する法律
そして、これら7法にはそれぞれ解釈、施行令、施行規則が付属しています。施行令と施行規則は、条文には書かれていない詳細な事項が記載されています。
暗記問題と計算問題がある
電験三種の法規は暗記問題と計算問題の2つに分かれています。
A問題は法令の穴埋め問題であるため、暗記中心の勉強が必要となります。B問題は計算問題となっており、以下の9パターンが出題されます。
- 絶縁耐力試験の計算
- 支線の計算
- 架空電線路の弛度と風圧荷重の計算
- 需要率、負荷率、不等率の計算
- 進相コンデンサによる力率改善の計算
- B種接地工事と地絡電流の計算
- 短絡電流についての計算
- 水力発電所の計算
- 変圧器の全日効率の計算
法規の配点と合格基準点
法規の配点はA問題とB問題で以下のようになっています。
- A問題
-配点:60点
-問題数:10問 - B問題
-配点:40点
-問題数:3問
法規の合格基準点は以下のように年度毎に異なっています。
- 平成22年度-55点
- 平成23年度-54.2点
- 平成24年度-51.35点
- 平成25年度-58点
- 平成26年度-58点
- 平成27年度-55点
- 平成28年度-54点
- 平成29年度-55点
- 平成30年度-51点
法規の合格率と難易度
法規の年度別の合格率は以下のようになっています。
- 平成22年度-12.1%
- 平成23年度-9.8%
- 平成24年度-19.4%
- 平成25年度-11.6%
- 平成26年度-13.7%
- 平成27年度-9.0%
- 平成28年度-9.3%
- 平成29年度-6.6%
- 平成30年度-9.6%
年度によってばらつきはあるものの、直近の合格率は10%未満となっています。
そのため、法規のみの合格を目指す場合も、難易度は高いと言えるでしょう。
電験三種の法規対策のポイント

電験三種の法規の勉強方法として、以下の4つのポイントを紹介します。
- 過去問を中心に学習する
- B問題でしっかり得点できるようにする
- 電気設備に関する技術基準を定める省令は後回しにする
- 他の3科目の後に勉強する
ここからはこれら3つの勉強方法について具体的に解説していきます。
過去問を中心に学習する
以前の電験三種試験であれば、法規に関しては過去問を繰り返し演習していれば本試験でも十分に対応することができました。
しかし、電験三種の法規は年々難化しているため、過去問演習だけでは対応できなくなっています。だからといって、過去問演習が重要でないということではありません。
本試験でも半分は過去問から出題されるため、過去問演習をしておくことは大切です。
過去問演習をする場合は最低でも直近5年分、できれば10年分、15年分やっておくといいでしょう。
B問題でしっかり得点できるようにする
電験三種受験業界では、B問題を制す者は法規を制すと言われています。
A問題は穴埋め問題や正誤判別問題なので暗記が重要ですが、出題範囲が非常に広いため過去問を演習しても5割程度しか得点できません。
しかし、B問題は計算問題であるため、しっかり演習しておけば満点を取ることもできます。
そのため、A問題ではなくB問題でしっかり得点しておくことが、法規で合格点を取る上で重要な戦略となっているのです。
電気設備に関する技術基準を定める省令は後回しにする
出題される7法の中でも、「電気設備に関する技術基準を定める省令」は後回しにすることが大切です。「電気設備に関する技術基準を定める省令」は条文が300近くあるため範囲が非常に広く、対策がしにくいからです。
範囲が広いだけでなく頻出の条文もなく、出題率が分散しているため、頻出の条文飲み勉強するといった対策が立てにくくなっています。
また、細かい数値を覚えなければならないため、暗記がしにくく、点に結びつきにくいという特徴もあります。
そのため、「電気設備に関する技術基準を定める省令」に力を入れて勉強することはおすすめできません。
他の3科目の後に勉強する
理論と電力、機械の3科目は、暗記というよりは「理解して計算問題を解く」科目です。
しかし、法規は異なります。時間をかけて理解するよいうよりはとにかく暗記する科目なので、早いうちに勉強をしてしまうと、試験当日に忘れてしまう恐れがあるのです。
まずはじっくりと理論を勉強し、理論で覚えた知識を基に電力と機械を学んでいきましょう。そして、試験の3ヶ月くらい前から法規の勉強を始めてください。
法規を暗記する時のコツ

電験三種の法規を勉強する時のコツとして、以下の3つを紹介します。
- 出題頻度の高い条文をメインに学習する
- 法令集ではなく問題集を使って学習する
- 条文番号は覚えない
ここからはこれら3つのコツについて詳しく解説していきます。
出題頻度の高い条文をメインに学習する
電験三種の法規は全部で7法もある上に、それぞれの法律は最低でも数十の条文があります。すべての条文を覚えようとしても覚えられないので、出題頻度の高い条文に絞って学習しましょう。
テキストや参考書を読むと重要な条文の解説がされているため、どの条文を重点的に学習すればいいのかわかります。出題頻度の低い条文に関しては、過去問で出題された条文のみを学習するようにしましょう。
法令集ではなく問題集を使って学習する
電験三種の法規用に法令集が市販されていますが、法令集を使って学習するのはおすすめできません。法令集にはすべての条文が掲載されているため、出題頻度の低い条文も読むことになり、効率が悪いからです。
もし法令集を使用する場合は、問題演習をしていて出てきた条文を調べるといった辞書的な使い方をしましょう。
条文番号は覚えない
法令を勉強していると、根拠となる条文番号が出てきますが、条文番号まで覚えるのはやめましょう。
過去問演習をしてみればわかることですが、条文番号を問う問題は過去に一度も出題されていないからです。
勉強をしているうちに自然と条文番号まで覚えられるということであれば問題ありません。しかし、条文番号そのものを覚えるのは無意味であることを知っておきましょう。
電験三種の法規の勉強にオススメの参考書3選
みんなが欲しかった! 電験三種 法規の教科書&問題集
おすすめ度:★★★★☆
独学で勉強する方におすすめの参考書。説明だけでなく問題も多数掲載されているため、これ一冊で法規の合格を狙えます。また、フルカラーの図表が多いのもポイント。今まで一度も電気関係を勉強したことがない方でもイメージをつかみやすく工夫されています。
この本の口コミ
法規の教科書はフルカラー印刷に限る
平成30年電験試験で法規81点を獲得しました。
電技や解釈の条文ではイメージできない事項も、フルカラーの図表のおかげで頭に入りやすかったと思います。
すいかかえ
数字をとにかく覚えました
8月から勉強の結果、この参考書だけで51点でギリギリ合格。とにかく数字をよく覚えることを重視し、文章はフィーリング理解しかできませんでしたが、これでこの点数ならきちんとこなせば60点は固いのではないでしょうか。
ペペロンチーノ
これだけ法規 (電験3種Newこれだけシリーズ)
おすすめ度:★★★★☆
合格に必要な知識を厳選して解説している参考書。少しでも覚える量を減らしたい方にもおすすめです。また、イラストを多用しているため、重要事項が記憶に残りやすい点もメリットです。
電験第3種 スイスイわかる法規
おすすめ度:★★★★☆
基本となる事柄をコンパクトにまとめた参考書。今まで電気について学んだことがない方が、最初に読む本としてもおすすめです。説明には図も添えられているためイメージしやすく、実務経験がない方にも適しています。
この本の口コミ
基本を押さえられて使いやすい
自分には、この本があっていました。
細かすぎず、少し大まかな切り口で初めて勉強する自分には、たいへん理解しやすいです。
Masa
基礎を学ぶには良い
図入りで説明がしてあり、練習問題もわかりやすい説明がなされていると思います。
託生くん20年生
完全マスター電験三種受験テキスト 法規
おすすめ度:★★★★☆
頻出問題を網羅している参考書。効率よく受験勉強したい方におすすめの良書。新傾向の問題の分析にも少なくないページを割いているので、高い得点力を身につけることができます。
この本の口コミ
非常に詳しく書かれています
非常に詳しく書かれています。
文科系の方には少し難しいかもしれませんが、高校の数学や物理を復習すれば理解できると思います。
練習問題も多く記載されていますが、過去問も併せて勉強すればほぼ合格まちがいないと思います。
hiro
まとめ

電験三種の法規は、暗記中心のA問題と計算問題が出題されるB問題に分かれています。
配点としてはA問題が高いものの、範囲が非常に広く得点しにくいため、B問題を完璧に解けるようにするのが合格する上で重要です。
法規を暗記するときは、出題頻度の高い条文のみに絞って学習し、譜例集は使用せず、条文番号は覚えないということは徹底しましょう。
これから法規を勉強する方は、ぜひ効率の良い勉強をして合格を目指して頑張ってください。
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