

電験三種の資格は需要がとても高いと言われている一方で、その資格試験の難易度の高さで知られています。
今回の記事ではそんな電験三種の資格試験の難易度に関して紹介します。
電験三種の試験は難易度が高いと言われる3つの理由

各科目の分野の数が多い
電験三種の難易度が高い理由はそもそも勉強しなければならない範囲の広さにあります。
それぞれの科目は理論が5分野、電力が4分野、法規が4分野となっていて機械に至っては9分野と特別多くなっているのです。
そして、分野ごとの出題率の高低にも差があるので、効率の良い勉強が出来るかどうかがカギとなっているのです。
各科目で得点するためには理論の習熟が重要なため
電験三種の試験内容は科目ごとに独立している訳ではありません。例えば、機械で得点するためには理論の内容を理解する必要があります。しかも表面的な知識だけでなく物理現象を理解する必要があるので、理論に対する習熟度が機械での得点に直結するのです。
各科目を網羅的に、そして本質から理解していないと解けない問題が試験に出題されることも、難易度が高くなっている原因の一つと言えます。
過去問だけでは対策しきれない
電験三種には当然過去問もありますが、これをこなすだけでは十分とは言えません。理由は電験三種は基礎問題と応用問題で難易度が大きく違い、応用問題は過去問と同じ問題は出ないと言う点から丸暗記が通用しないためです。
そのため基礎をしっかり覚え、実際の試験では解放までの道筋を見つけられる地力が必要となってくるのです。
4科目の中で一番難しいのはどれ?
一般的には法規と言われています。勉強する際は、法規は後でもよいでしょう。理論から手をつけるのがおすすめです。
電験三種の試験の合格率データ

電験三種の合格率データ
電験三種の合格率は平均でも10%以下となっています。
最新の試験である令和元年度に行われたテストは前年よりも多少合格者の割合は上がったものの、それでも10%を下回っています。
- R1年:受験 41543 合格 3879(9.30% )
- H30年:受験 42976 合格 3918 ( 9.1%)
- H29年:受験 45720 合格 3698 ( 8.1%)
- H28年:受験 46552 合格 3980 ( 8.5%)
- H27年: 受験 45311 合格 3502 ( 7.7%)
科目別合格率のデータ
電験三種の合格率を科目別に見てみると、例年30%前後で推移しています。また、過去5年間の科目別合格率を以下に紹介します。
- R1年:32.1%
- H30年:28.7%
- H29年:26.6%
- H28年:28.9%
- H27年: 29.6%
全科目の合格率と比較すると、高い水準ということも分かります。
理由の1つは、最初から科目別合格を前提として試験対策をしている方もいるためです。
1回の試験で1~2科目の試験対策に集中できるので、学習時間もその分増やすことができますし、丁寧に各項目を勉強できます。難易度が高いこと以外にも、合格率が低い理由がある

科目別では30%台の合格率を記録していますが、全科目の合格率は低い傾向です。そして、難易度の高さだけでなく2つの理由も考えられています。また、1つは、前の項目と関係があります。
おためし受験の人が多い
全科目の合格率が低い理由の1つは、電験三種へおためし受験する方も多いためです。電験三種を含め資格試験を受験する全ての方が、必ずしも万全の状態で準備をしている訳ではありません。
人によっては、興味があるから受験してみるといった方や、今回は初回だから合格できないことを想定している方などもいることでしょう。そのため合格率にも影響するという理屈です。
科目合格狙いの人が多い
もう1つの理由は、科目別合格狙いで受験している方も多いためです。
電験三種の場合は、合格した科目を翌年度・翌々年度まで引き継ぐことができます。また、事前申請は必要ですが、誰でも利用できる制度となっています。
科目別合格者は、1回の試験で1~3科目は不合格です。さらに電験三種の合格率は科目別合格者も含めているため、結果的に全体の合格率は10%以下となる傾向です。
他の理系・文系資格との合格率比較

他の理系資格は、以下のような合格率の水準となっています。
- 電気通信技術者28%前後
- 基本情報技術者25%前後
- 電気および電子関係の技術士38%前後
理系資格の多くは、20~30%台の合格率ですので、電験三種(全科目)の合格率10%以下は低いということが分かります。続いて文系資格の合格率を紹介します。
- FP(2級)48%前後
- 宅建15%前後
- 税理士14%前後
文系の資格は、理系資格よりも資格によるばらつきが多いので、単純に電験三種の方が低いとはいえません。
ただ、電験三種が簡単ということではありませんので、学習スケジュールや方法を整えて試験対策を行うのが大切です。電験三種の試験を突破するためには

以下の項目からはそんな高難易度と言われる電験三種の試験を突破するための具体的な対策をご説明していきます。
合格に必要な分野・範囲を見極める
電験三種の試験範囲は広いだけでなく、覚える範囲も広いのが特徴です。しかし、だからといって全ての単語・理論・計算を覚えるのは、合格から遠ざかる原因の1つでもあります。
つまり電験三種の出題範囲に対して、どの項目が出題されやすいのか過去問などから見極める力も必要です。もちろん暗記系の資格ではありませんので、公式や原理を理解することも大切です。
やみくもな暗記・学習ではなく、必要とされるであろう範囲を重点的に対策しましょう。理解して演習の流れを各分野で繰り返す
電験三種の試験対策を始める時は、参考書を読んで理解することから始めましょう。最初から過去問や問題集を解いても、原理や仕組みなどが分からず非効率的です。
参考書で各項目を理解し、問題集で理解度を試しながら点数を伸ばしましょう。また、問題集で間違ったところは、参考書で復習します。
電験三種の参考書は4科目に分かれていますが、1科目ごとに参考書と問題集を往復するのも大切です。たとえば、理論の学習を始める時は、理論の参考書を一通り読み込み、問題集を解くことと復習を繰り返します。点数が伸びた・一定程度理解が深まったと判断した時に、次の科目へ移るという流れです。
理論、機械、電力、法規の順番で勉強する
電験三種では、理論が基礎となっています。また、理論の次に機械も土台となっているのが特徴です。ですので、試験対策の順番としては、理論、機械、電力、法規という流れで学習することをおすすめします。
理論は数学を土台として、電力の計算や電気回路・電子回路の計算なども行います。そして機械は電子回路・電気回路や、発電機・直流機など設備関係の仕組みに関する知識が問われます。
電力は、発電システムに関する内容を軸としていて、出題率も高い科目です。また、理論と関係している内容が多いため、先に理論を理解しておくことも必要です。
法規は、電気事業に関する法律のことですが、計算問題も多数含まれています。そのため、こちらも理論を理解していないと学習の難しい科目です。
科目合格制度を利用する
電験三種の合格を目指す時は、科目別合格制度の利用もおすすめです。電験三種の試験範囲は広く深いため、1回の試験で4科目全ての合格は難しいといえるでしょう。また、通常の試験では、翌年度の試験へ合格した科目の記録は引き継がれません。
通常の方法では時間と手間がかかるので、翌年度・翌々年度まで合格した科目が引き継がれる科目別合格制度を利用しましょう。
最初から科目別合格制度の利用を前提として準備していれば、1回の試験に対して1科目~2科目の学習に絞ることも可能です。また、1科目あたりの学習時間も増やせます。
まとめ

以上電験三種の難易度についてご説明してきました。確かに電験三種は学ぶべき範囲が多いものの、しっかりとした対策をもって望めば決して突破不可能ではありません。
今回お伝えしたい最も大事なことは、電験三種の試験は学ぶ範囲が多いこと、出題率が高い分野から勉強することです!
今回の記事に書かれていることを参考にして、ぜひ電験三種の試験対策に役立ててください!
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